2014年2月24日月曜日

「FACE展2014」 森の中22

 先週の金曜日にFACE展2014損保ジャパンの内覧会と表彰式に行ってきました。
いろんな絵があって面白かったです。3月30日まで新宿の東郷青児美術館で展覧会やってますので、お近くにお寄りの際は見に行ってやってください。ゴッホのひまわりやセザンヌの静物画も見れますよ。宜しくお願いいたします。
----------------
(森の中 2月15日のつづき)

「・・・あの、僕、食べられてはいないと思うんだけど」
とカンは言った。
「おとうちゃんが、ひとがひとなんかたべないって」
とトウも言った。
「そりゃそうだろう。食べられていたらカンはいなくなってるだろうよ」
とコウが言った。A子は食べてしまったと思っていた。
「そうなの?なんか混ざっちゃったから、食べちゃったのかと思ったんだけと・・・」
森の家の人が小さい森の川に指を着けながら、
「どうやら、川の水がカンを気に入って一緒にしてしまったようだね。A子さんは川の水になっていたから、混ざったのはしかたないさ。うまく分かれて良かったよ。」
森の家の人の話によると、A子が食べてはいけないと強く思った事や、カンが黒いA子を人だと思った事が、混ざりながらも二人がそれぞれであったということらしい。
「もしかしたら、二人とも気を失ってしまっていたら、混ざった人が二人できてしまったかもな」
と森の家の人が付け加えて言った。
「A子ちゃんとカンが混ざったのが二人できちゃうの? そうなったら、どうなってたの?」
チヨがビックリして言った。サクとジュンがそれはそれで面白いんじゃないかと笑った。
「まあ、混ざったら混ざった時に考えればいいんだし、混ざってないならそれはそれでいいんだ」
とコウが言った。
チヨはA子とカンをふーんと見比べながら「本当はちょっとだけとか混ざってないの?」とA子の耳元でささやいた。A子はチヨの耳に口を近づけて「実はね、私の右手の甲に在ったホクロが無くなっていてね。それがカンの右手にあるわ」と言った。チヨはカンの手の甲をチラッと見てホクロがあるのを確かめると、A子に「すごい、ホントだね」と小さい声で言った。
「姉ちゃんたちは何をごにょごにょ言ってるんだよ」
とカンが言う。
「内緒よ。でも大した事じゃないわ」
とチヨとA子は二人でクスクス笑った。

(つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿