2014年2月26日水曜日

森の中23

(一昨日のつづき)

 次の満月は三角の祭りだ。初めが点の祭りで、その後は線・縦横・三角・円・無の祭りと続いて、また点の祭りに戻る。6年周期の「形」のお祭りだ。それぞれ形に合わせて食べる物や踊りなんかも決まっている。
 点の祭りの時は、食べ物は素材をそのまま食べることになっている。せいぜい肉に火が通っているくらいのもので、お菓子もべっこう飴やお餅といった簡単な物が多く、踊りも1拍子の太鼓に合わせる。かなり原始的な祭りだ。線の祭りになると、食べ物は2つの材料を混ぜて煮たり焼いたりすることになって、お菓子も素朴なクッキーとか御団子とか並び、踊りは2拍子の太鼓になる。縦横になると、肉と野菜が一緒に調理されたりするし、お菓子もパウンドケーキや御団子に餡が入ってたり、踊りにも笛と歌が入ってくる。
そして、今年の三角の祭りは四段階目になるので華やかだ。村中を花やリボンで飾ってあるし、料理もちょっと手の込んだ御馳走だし、お菓子も重ねて焼いたケーキにジャムが挟まっててオマケにクリームも塗ってある、アイスクリームなんかも作ってくれる。踊りも楽器が沢山になるし、そこら中で皆が歌を歌っている。三角の祭りの時が一番カップルが出来るなんて言う大人もいる。
その次の円の祭りの時は本当に豪勢だ。色んな外国の料理が並んで、パレードだってあるし、花火だってあがる。村以外の人も沢山来る。でも、皆が仮面を付けているので誰が誰だか分からない。
最後の無の祭りの時は何もしない、ご飯も食べないし、踊りも音楽もない。だから、子供にとっては退屈だ。でも、大人たちは結構好きらしい。ばあちゃん達は一番好きだと言って、退屈している子供らに昔ばなしをする。

(つづく)

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