「ハル、孤独の島」は、トーベ・ヤンソンとパートナーのトゥーリッキ・ピエティラと黒猫のプシプシーナが夏に暮していた無人島クルーヴハル島での生活を、トゥーリッキがコニカ8ミリで撮った大量のフィルムを編集して作られています。この映画を見る前は、本とか写真で見て「トーベ・ヤンソン、夏に無人島で生活っていいなあ」とボンヤリと思っていたのですが、そんなボンヤリとした島ではありませんでした。ずっとずっと岩だらけで、波の状態によっては上陸すらままならないハードな島。と言うより大きめの岩礁っていう感じ・・・。ここに夏の間とはいえ28年? こんな四方八方が海しかない岩場に暮すって、しかも、フワフワ踊ったりしてるし、どんなけ肝っ玉が座っているんだろう。そして、二人ともシンプルに働き者です。
岩場にぶくぶくと海の泡がよせてくるのがニョロニョロに見えたり、ムーミンパパが海の様子を調べたり、漕ぎ出したり、吹っ飛んだりしてる様子や、「嵐」の臨場感溢れる描写とか、そういうトーベの小説の在処を、島の生活のフィルムが語っているような映画でした。
そして、1991年(77か78歳)の時に身体が思うように働かなくなって島を離れたそうです。「海が怖くなった」それは島に対する裏切りで自分でも信じられないし許せないと語られてたのは、とても印象的でした。
「トーベ・ヤンソンの世界旅行」は、1971年に日本やハワイやアメリカやメキシコを旅行した映像を纏めたもので、当時を振り返る二人のオーディオコメンタリーが楽しいフィルムでした。日本の硫黄温泉の山を「毒ガスを出す山」と言ったり、ラスベガスで「美しいものを見たくても何もない」「しょうがないわよ」とか、メキシコで「フィルムを買うから、貧乏でご飯が水とバナナばかりだった」とか、いろんな物を歩いて見て回っている感じが、とても楽しそうでした。このフィルムでも、トーベ・ヤンソンはフワフワ変な踊り踊ってました。
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