2014年1月17日金曜日

森の中2

(昨日のつづき)

 A子は川の音に引き寄せられるように、森の中をとーとーと歩いていく。とーとーとーとーとーとー、パキッ、と小枝が足元で折れる音がした。気がついたようにA子は目を細めた。いつの間にか森の淵にきていた。森の淵は緩やかな下り坂になっていた。その先には透明な川が流れている。その川を見たとたん喉がゴクリと動いた。A子はそれまで感じたことの無い渇きを覚えた。吸い込まれるように川に下り、そのまま川の中にザブザブと入った。川の真ん中辺りで胸の位置まで水がきた。A子は顔をザバリとつけてゴクゴクと水を飲み始めた。ごくごくごくごくごくごくごくごく、身体の水分は川の水になっていった。そのうち、A子は透明な川の水となって流れていった。

(つづく)

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