2014年1月29日水曜日

森の中11

(昨日のつづき)

 星の明かりでちらりちらりと光る夜の森の中を三人の男はすいすいと浮かぶように歩いていた。森の入口からしばらく歩くと三つに道が分かれている。その右側の道をもう少し歩くと森の家がある。森の中を迷いなく歩いてきた三人の眼の先に、白い饅頭を積み重ねたような森の家が闇の中でほわっと光っていた。
 三人は扉の小さなベルを鳴らした。ギギッと扉が開き、手伝い女が「良く来てくれました」と言った。その隙間から湿った涼しい風がふうと外に漏れた。女が「こちらへ」と迷路のような廊下を縫うように歩いて行く。三人はそのあとを逸れないようについて行った。森の家の内側には外から見た時には想像もできない大きな空間が広がっている。それは森と同じようだ。

(つづく)

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