2014年12月15日月曜日

森の中52

すっかり間が空いてしまいましたが、6月21日のつづきです。まあ、そのうち、いつになるか分かりませんが、森の中のお話が一段落して、通して添削できたらHPにでも載せるので、良ければ、取り合えず、つづき、読んでください。
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S子を担いで塔に上った男は、ザクロ石の飾りの裏側の三角形に組んだ竹の骨組みに手際よくS子のロッキングチェアーを白い布で固定した。そして、クルクルと滑るように塔から降りた。夕日がザクロ石の飾りの裏を通って、ロッキングチェアーで眠るS子の顔を真っ赤に染めている。赤いS子の瞼が開く。右目は青い石に、左目は黄色の石に。その目に反射した光は青と黄色、赤い三角の飾りに使われているザクロ石を真ん中辺りから透明に変えていく。夕日が森の先に沈んでいくスピードと同じ早さで、赤いザクロ石の三角の飾りは透明のガラスになった。
塔の下に集まっている人たちは、男が塔から降りてくると、まるで何も起らなかったように、そのまま夜なっても、にぎやかにお祭りのつづきを楽しんでいた。
 そうそう、そう言えば、日が落ちる前に森の集まった子供たちは、日の落ち始める頃に湖の真ん中に、木の船カヤックで滑り出し、湖底からプクンプクンと上がる泡を葦のストローですぅすぅと飲むように吸い込んでいる。

(つづく)

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